吉田茂 --- 負けて勝つ、戦後を創った男

NHKの吉田茂の連続ドラマを観た。彼は元外交官。太平洋戦争に負けた後に総理大臣になり、サンフランシスコ講和条約を結んで日本を独立国家へと導いた人物だ。ドラマの副題は「負けて勝つ、戦後を創った男」。

吉田は、いま、自分が求める成果は何かという目的を見失わない。敗戦直後は天皇陛下への戦争責任追及を避けるために、それ以外のあらゆることを、ぎりぎりの交渉を重ねながら譲り続けた。そしてその後は、GHQの支配から脱却し、日本を独立国家にするために、最後の最後でアメリカからの要求を受け入れた。ドラマの表現をそのまま信じるなら、日米安保条約は、日本が独立国になるための、アメリカとのバーター取引であった。後々大きな禍根を残すだろうと理解しつつ、講和条約を結んで独立国に復帰するためには、それ以外の策がなかった。

吉田に反対する者は大勢いたし、吉田自身も自分がやろうとしていることが正解なのかどうか、わからなかった。それでも、国内、国外の危うくて複雑な利害関係の焦点に立ながら、譲って譲って譲りまくって、独立を勝ち取った。8、9まで譲っても、自分がどうしても欲しい1を手に入れる、それが外交官だ、と吉田は言う。

目的さえ絞れていれば、その目的に沿った判断の誤りが少なくなり、行動にメリハリがつき、成果を得やすくなる。十分なリソースを持たないときに、あれも、これもと、複数の目的を追ってはいけない。それを学んだ良質なドラマだった。

WordPress界とプログラマ界

さいきん、WordPressがわかってきた、気がする。結構複雑なウェブのサービスを作れそうだ。WordPress で実装する人たちと、PHP や Ruby で実装する人たちの間には、大きな溝がある。人的交流も少なそう。

ウェブアプリって、どこまで複雑になったら、フルスクラッチ実装の方が安上がりになるんだろう? その見極めのポイントは、なんだろう? WordPress に加えて、レゴブロックとも比喩される自由度の高さを持つ Drupal も参戦させたら、その境界はどこまで移動するんだろう?

ちなみに、WordPress界には女性が多い。。。プログラマ界の人間にとって、これは見逃せないポイントだ。この間、はじめて WordCamp に参加して、そう思った。

ウェブプログラマが WordPress を習得するのは、Rails を習得するよりはるかにコストが低いので、どんどん遠征したらいいんじゃないか。

Apache Mahout の Grant Ingersoll 氏を囲む会

Grant Ingersoll(グラント・インガーソル)を囲む会に出席してきた。MahoutコアコミッタのGrantに、Apache Mahoutについて語ってもらう会だ。開催2日前の、直前のゲリラ的募集で30名を集めた会だ。みんなの関心の高さがわかる。濃い人々が集まっていた。そんな楽しい人々が集まった会の懇親会に、仕事の関係で出席できなかったのが悔やまれる。自分の仕事の遅さを呪うばかりだ。

Grantの話自体は、Mahoutの一般的な内容がほとんどだったので、あの場に集まった人々にとっては、だいたい了解済みのことだろう。でも、今後のMahoutで streaming k-means という、今の k-means の100倍速いアルゴリズム(なんじゃそりゃ!)が実装されるとか、パラレルSGDが実装されるとか、やっぱパラレルSVMは難しいね、などの話を聞けたのは良かった。

その中でも一番印象に残ったのはこれ。Mahoutに関わって、どんなことが面白いの、という質問に対する答え。Mahout は、やっていることがそもそも難しいし、それを高速にするというのも難しい。難しい + 難しいで、夜も眠れないことがあるほど。でも、そういった難しいことに挑戦していかないと、自分の仕事が、居場所がなくなってしまう。面白い仕事ができなくなってしまう。だから挑戦し続けたい。そんな感じの話だった。

そうだよね。時間が無いときに難題が積み重なるとウキーッとなったり、現実から逃避したくなるけど、それを喜べるようになりたいね。言われてみれば当たり前のことなんだけど、世界の第一線で活躍している人の口から直接聞くと、自分も頑張ろうって思う。

そういえば、Taming Text は、11月か12月に出るんじゃないか、と言っていた。数え切れないリスケジュールを経て、いまManningのサイトには、10月発行と書いてあるのに。あの本は、出る出るといい続けて、もう3年以上経つ。本当に今年中に出るのか、いまいち信用できない。でも、書籍のスケジュールって、常にそんなものだ。

ネットワークビジネスの成功者

この間、ネットワークビジネスで成功した方のお宅にお邪魔しました。お洒落な立地の都心の駅から徒歩10分くらい。広いリビングに、10人以上座れそうな大きなソファ。10人一緒に座れるダイニングテーブル。シベリアンハスキー2頭に、宝石店のようにガラスのケースに収められた数々の腕時計。キッチンは6畳くらい。そこには鳥一羽が丸ごと入るオーブン。壁には絵が飾られ、一歩足を踏み入れた瞬間、ここはショールームだろうかと錯覚しました。

数万人の組織を築かれたそうです。この豪華な住居は、おそらく自分のネットワークの人々に見せるためのものでもあって、普通の人よりは環境にお金をかけているのでしょう。自分自身がショーケース、というわけです。そう理解しながらも、実際に成功された方というのは、一般の人とは一線を画した生活をしているものだと驚き、自分の目でそれを確認できたことに感謝しました。

僕は、自分でネットワークビジネスをすることはありませんが、ネットワークビジネスに関心はあります。でもそれは、仕組みを知りたい、秘密を知りたい、という好奇心です。例えが適切でなくて申し訳ありませんが、それは、宗教団体がどうやってあの組織を維持、拡大しているのだろう、という関心に似ています。言うなれば、週刊誌に「潜入!○○教の深部」という記事を書きたい、という動機に似ています。

どんなビジネスであれ、どんな宗教であれ、どんなボランティア活動であれ、成功している団体の中心には、その成功を支える、熱意と行動力のあるとても賢い人たちがいるはずです。それが知りたいのです。

楽天が出版取次に参入

楽天が出版取次に参入するというニュースが数日前に流れた。プレーヤーが増えて多様性が増すのはいいことだと思う。新規の取次なんて、倒産した取次の再建のような例を除けば、ここ3〜40年、無かったのではないか。

書店や出版業への参入は、比較的容易だ。いまどき小規模零細書店を開業する物好きは少ないだろうし、新規出版社は不利な条件を飲まされるという事実はあれども、出版業界から拒否されることはなく、その気になれば誰でも参入可能。

それを可能にしているのが取次を中心とする出版流通システム。日本の出版流通は、4000社の出版社と、2万店にせまる書店を、数十社の取次で結んでいる。数十社といっても、日販、トーハンの2社だけで70%を扱い、上位数社でほぼ全てともいえる寡占の世界。分野を絞るなど、特色ある取次でない限りは、取次に新規参入するには、多数の出版社、多数の書店と契約しなければならず、不可能に近い。

ところが楽天が取次に参入。これはすごい? でも、よく考えてみると、楽天だって取次(日販)から仕入れているただの書店。それって取次と呼べるのか。流通が一段階増えて、流通コストも増える。楽天は小規模書店よりいい条件で契約しているだろうけど、書店に宅配便で送るコストを捻出できるはずがない。結局、楽天から本を取る書店の取り分が減るだけではないか。読者は便利になるかもしれないけど、書店は手間の割に儲けが少ない。楽天の取次参入というのは、言葉だけ華やかで、中身は空っぽな気がする。

日本の出版流通って、現役で流通しているアイテムが100万種とも言われる超多品種少量生産の書籍や雑誌を、全国一律の定価で、1冊でも注文できるという、とんでもないシステム。今ならAmazonがあるけど、これを50年前に実現していた。そのかわり、透明性、柔軟性が低い。注文して届くまでに3週間とか、注文してもいつ届くのか予想できないとか、そもそも届くかどうかさえも誰もわからないとか、今日注文しても品切れと言われるけど、一ヶ月後に注文すると買えるかもしれないとか、もう、消費者にとっては不満がいっぱいのシステム。だから、大量の在庫と、正確な在庫情報を持って、この欠点を意識しないで済むようにしたAmazonが大人気なんだね。