UXとはおもてなしの心

スマホアプリの開発中、UXとは何かと問われて、戸惑いました。多くの人の合意が得られた定義というのは、まだ存在しません。しばらく考えて、それはおもてなしの心ではないかと考えるようになりました。実際に利用してくれる人のことを思い浮かべながら、どうすれば相手に喜んでもらえるのかを考え、行動すること、です。スマホアプリに限らず、飲食業でも、ホテルでも、人に贈り物をするのでも、お客さまを接待するのでも、友人付き合いでも、異性の気を引くのでも、基本は同じなのだろうなと思います。

iOSヒューマンインターフェースガイドラインは、iOSの世界の標準を作る、文化を作るものです。環境によって、どうおもてなしをすると喜んでもらえるのかが異なります。ある環境で、さまざまな制約にさらされながら、どのように振る舞えば皆が気持ちよく過ごせるかという試行が積み重なってできたものが、マナーとか、ガイドラインであると思います。少ないコストで高い満足度を生み出すためのものです。

人に会ったときに軽く会釈する文化もあれば、手を差し出して握手したりハグやキスをする文化もあります。紺やグレーのスーツを着て革靴を履くのが自然な会社もあれば、ユニクロを着てサンダルを履くのが自然な会社もあります。それらの標準から離れた行動をすると、コミュニケーションに余分なコストがかかります。iOS の世界では、iOSヒューマンインターフェイスガイドラインに沿って振る舞えば、他の人に違和感を与えることなく、自然な所作として無条件に受け入れてもらえます。

このガイドラインは、唯一無二の正解ということは決してないけれども、先人の経験を元にAppleが時間をかけて洗練させた文化なのだと思います。ガイドラインから離れたものを作ろうとする場合も、積み上げられてきた文化を尊重した上で、すべきものだろうと考えます。

Kindle のアカウント結合

Kindle paperwhite を普通にセットアップすると Amazon.co.jp に登録される。Kindle Store は US と JP で分かれているため、これまで Amazon.com で購入してきた Kindle Store のコンテンツを Kindle paperwhilte で読むことができない。

そこで Amazon は、ライブラリの結合という手段を用意している。Amazon.com の Manege your Kindle ページに行くと

Great news! You can now shop for Kindle titles at Amazon.co.jp. Consolidate your libraries and manage them from Amazon.co.jp. Change your preferred shopping site to the Amazon.co.jp Kindle Store to shop for Japanese titles in Yen (¥).

と表示されて、ライブラリを結合するよう促される。ところがこの手順に従って操作を進めてもエラーになり、サポートにコンタクトしてくれと表示される。

面倒だなと思いながら(英語で)メールを送ると、数時間で返事が来た。電話かチャットで解決したいとのこと。電話の場合、番号を伝えると Amazon からかけてくれる仕組みだが、アメリカやカナダなど、数カ国しか対象になっていない。そこでチャットすることにした。

You are now connected to Xxxx from Amazon.com. Me:Hi, I'm a kindle paperwhite owner in Japan. I'd like to consolidate my amazon.com account and amazon.co.jp account. but i got an error when i tried to. can you help me? Xxxx:Hello -----, my name is Xxxx. I'd be glad to help you. Just to make sure, you want to consolidate your Amazon.com to amazon.co.jp on your kindle account? Me:Hi Xxxx, thank you for your response. Yes, I want to consolidate .com and .co.jp accounts. To use contents purchased on .com account on my new kindle paper white. Xxxx:Oh, I see. I'm glad to inform you that we have a separate department for kindle and I'm very much willing to connect you to our kindle support team so they could help you with that. Me:Thanks! Xxxx:You're welcome. Let me now go ahead and connect you. Me:Sure. thank you. Xxxx:You're welcome. Please stay on the line, I am now connecting you. A Customer Service Associate will be with you in a moment. You are now connected to Yyyy from Amazon.com. Yyyy:Hello, My name is Yyyy. I'll be glad to help you today. Me:Hello, My name is ------- -------. Nice to see you. Yyyy:Hi -----. Glad to meet you too. Thank you for trying to link up your Amazon accounts with the information provided on the help pages. I am checking on this issue. Please be on hold. Me:Sure. Yyyy:May I know what is the email address that you use to login to our Amaozn.co.jp web site? Me:I'm using ---------@------.-- for both amazon.com and amazon.co.jp. But passwords are different. Yyyy:Okay. Thank you for confirming. Thank you. Your accounts are linked. Please check your account library now. Me:Oh, I've checked it now. And I see my kindle contents are combined. Thank you for your help. Yyyy:Pleasure. Is there anything else that I can be of assistance further today? Me:No. I'm OK, and very happy. See you! Yyyy:Glad to know so. Take care. k you for contacting Amazon. We hope to see you again. Thank you. Bye. Me:bye! Yyyy from Amazon.com has left the conversation.

5分ほどで、アカウントのリンクが完了した。Amazon は直接コンタクトするのが難しい会社だという印象を持っていたのだが、思った以上にサポートのレスポンスがいい。

モダンアート

普段は美術館などには行かないのだけども、たまにふらっと足を運びたくなることがある。六本木ヒルズの上の方にある、眺望がすごくいい有料図書館、六本木ライブラリーの会員だったときに、森美術館の年間パスポートを購入して、何回か見に行った。そのついでに、同じく六本木にある国立新美術館などにも足をのばしたり。

森美術館は、モダンアート(現代美術)専門の美術館で、縦横高さ1mの立方体に固めたプーアール茶とか、羽毛で作った雪景色の中でファンを回して吹雪きを表現するとか、よくわからないものばかりを展示していることが多い。それがモダンアートというものらしいが、正直、これを見て僕はどうすればいいのだろうか、何を感じればいいのだろうか、何の役に立つのだろうかと、困惑した。

あるとき、森美術館の館長、南條さんのセミナーがあったので、参加してみた。たぶん、生まれて初めての美術セミナーだ。そこで彼が言っていたのが、モダンアートを難しく考える必要はない、今までにない新しい体験をしたと思ってもらえればそれで充分だ、ということだった。それ以来、ああ、単に楽しめばいいのねと、気楽に接することができるようになった。

そして昨日、その話をしたときに、ある人が教えてくれたこと。モダンアートは、誰でも楽しめる。歴史とか理論とか、そういう背景知識がなくても楽しめるのがモダンアート、だと。なるほど、確かにその通りだ。伝統的美術が持つ過去の積み重ねの上にないからこそ、誰もが同じラインに立てる。

でも実は、どんなものでも気兼ねなく楽しめばいいのかもしれない。僕はコーヒーを淹れるのが好きで、それなりにこだわりがあるのだけれども、人に出したときは、単に「おいしい」の一言がもらえれば嬉しい。

ワイン会なる場にいくと、ワインを言葉で表現する人たちが多くて、それができない僕は気後れするのだけれども、でも飲んで、香りをかいで、楽しむことはできる。おいしいね、という一言があれば、ワインを作った生産者は笑顔になってくれると思う。

ウェブのサービスだって、裏側の苦労はさておいて、ユーザに楽しく、便利に使ってもらえれば僕はそれで充分だ。

人が何かをするのって、他の人と、何らかの点でつながりたいから、なんだろうな。芸術でも、料理でも、プログラミングでも、スポーツでも。誰も見ていなくてもやりたいことって、マズローの欲求階層の下の二つ、生理的欲求と安全欲求くらいかな。

人にプレゼントする

むかし、こう考えていました。

人にプレゼントするなら、その人が欲しいものをあげるほうがいいのだから、カタログや現金!を渡すほうがいいよね、お互いラクだし、と。

でも、さいきんは、相手がどうすれば喜ぶのか、相手のことを考える行為そのものが大事なんだなあ、と気づきました。10分とか、1時間とか、3時間とか、一時的に、自分の頭の中を相手のことでいっぱいにする行為。人にものをあげるのって、悩みますもんね。

いまでも、いっぱい至らない人間ですが、1ミリくらいは成長しました。

刷出し

印刷所から、今月末に出す新刊の「刷出し」が届きました。製本する直前のものです。表裏にそれぞれ8ページずつ印刷した紙を折っているだけなので、ページをめくって読むことはできません。

そもそも、これは印刷の品質を見るためのものであって、校正するものではないし、間違いを見つけたとしても、もはや直せません。なので、本文をざーっと見て、図版をいくつか確認して、最終ページの奥付を一応確認して、おわりです。

それにしても、オフセット印刷は、きれいです。自分でつくったものだけど、こんなに綺麗にでるのかと、ほれぼれ。レーザープリンタの綺麗さとはまた違い、目に優しい印刷です。長年積み重ねられてきた、読書のための印刷技術なのだなと感じました。