『憂鬱でなければ仕事じゃない』 幻冬舎 見城徹、サイバーエージェント 藤田晋

幻冬舎の創業社長である見城さんと、20歳以上離れた弟分であるサイバーエージェント藤田さんの共著。30以上の主題にわかれた見城さんの原稿に、藤田さんが解説を加えるという構成。編集者出身だからだろうか。見城さんの言葉は力強く、美しい。己が為してきたことの自信と努力に裏打ちされていて、心を打つ。

見城さんの「努力」は半端なものではない。若いころに、当時すでに大作家であり政治家でもあった石原慎太郎と仕事をしたいがために、小説2編を丸暗記して、初対面のときに暗唱して見せたという。他の大作家と仕事をするときも、全著作を読み込み、おべっかでもない、批判でもない、相手が刺激を受けるような内容の手紙を書く。その鍛錬もまた、見城さんの並外れた日本語力の源泉なのだろう。

普段はやらないのだが、久しぶりに、赤線を引きながら読んだ。時間をおいて、再読しようと思う。

・魅力ある人間は自己顕示と自己嫌悪が双子のようにつながっている。その二つを揺れ動くからこそ、人としての幅が生まれる。心が運動すると、そこに風が起こり熱が発生する。それがその人のオーラ。

・人は自分のスケールでしか物事をはかることができない。人が足元にも及ばないほどのすさまじい努力が、僕のいう「努力」。人が寝ているときに寝ないこと。人が休んでいるときに休まないこと。どこから手を付ければいいのかわからない膨大なものに手を付け、最後までやり通すこと。

・努力は基本的に自分を痛める。だからこそ相手の心を打つ。自分を傷めないで、誰が僕に心を動かしてくれるだろうか。

・泣きごとも恨みごとも心の奥深くしまいこんで、すべてをわが身に引き受けると、闘争心が、めらめらと燃え上がる。

・僕にとって大事なものは、物事が成功したときに「俺はまだ闘える」と思えること。

・男子たるものは、一度闘って負けても、やめてはならない。二度目三度目の戦いの後でも、やめてはならない。刀折れ、矢尽きてもやめてはならない。骨が砕け、最後の血の一滴まで流して、初めてやめるのだ。 [新島襄(にいじま じょう・同志社大学創立者)]

・この人と付き合ったら刺激を受ける、新しいステージに行ける、面白い仕事ができると、相手に思わせなければならない。

・貸しが100になった時、僕はその人に、ようやく1つ「お願い」をする。それは僕にとってはビッグ・ビジネスを実現させるために譲れない「お願い」である。

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