最近、ECの立ち上げに関わっている。



<p>EC を立ち上げるには、Yahooや楽天のようなモールに出店するか、自社サイトを作るかのどちらかになる。自社サイトの場合は、スクラッチ開発するか、EC-Cube や Magento のようなパッケージを使うか、ASP を使うかのいずれを選ぶことになる。HTML 1ページとメールフォームだけというシンプルなのもスクラッチの箱に放り込んでしまおう。 </p>

<p>オープンソースECソフトなら、いまは EC-Cube が一番人気だろう。日本で開発されていて、日本語の情報も豊富だ。経験済みの制作会社も多いので、自前で立ち上げずに外注する場合にも困らない。機能的に面白そうなのはMagento。まだ日本語の情報は少なく、経験者も少なく、従って製作コストも高くつくだろうが、やはり新しいものほど高機能で洗練されている。</p>

<p>ECで意外と落とし穴なのは定期購入の実現。これはモールでも、パッケージでも、ASPでも対応していないところが多い。楽天が2008年1月から開始したのが大手では唯一の対応。EC-Cube それ自身は対応していないけれども、EC-Cube に定期購入パッチを当てて商売にしている会社はある。それ以外では、Magento も主要ASPも、現時点では対応していない。</p>

<p>いろいろ試したけれど、お手軽に始めるなら ASP が一番いい。モールのような出店審査もないし、機能的には充分そろっている。そして何よりも安い。月額料金5000円も払えば使える。ゼロ円というプランを用意しているASPもある。個人事業主でもクレジットカード決済やコンビニ払いが可能。</p>

<p>それに、自社サイトを立ち上げて、自社DBにクレジットカード番号なんか持ちたくない。住所氏名などの個人情報漏えいも事業存続を脅かす充分に怖い事故だけど、これは商品を届けるのに避けては通れないので仕方がない。クレジットカード番号漏えいは、カード会社までステークホルダーに加わってしまうので、その後の対応が輪をかけて面倒。</p>

<p>今年クレジットカード番号漏えいのあった楽器通販会社サウンドハウスの場合は、調査に1000万円かけてカード決済を再開しようとしたら、それでは足りないとカード会社からいわれて、さらに1000万円をかけて求められる調査と再発防止策を実施した。ハードを含めると、総額6000万円を費やした。できることなら、カード番号は持ちたくないものだ。</p>

<p>クレジットカード決済代行会社の中でも、たとえば GMO Payment Gateway などは、アプリケーション側でカード番号を持たなくてもよく、かつ顧客がカード番号を入力するのは一度だけでよいというサービスを提供している。要するに、アプリケーション固有のユーザーIDを決済会社側でカードホルダーに紐づけてくれるサービスだ。自社ECサイトをやる場合は、こういうサービスを活用したい。</p>

<p>決済会社ごとに、できることとできないことが異なる。GMO Payment Gateway はクレジットカード決済に特化していて、クレジットカードだけを扱うならとても使いやすい。テスト環境も完備されていて、開発者側にも嬉しい。</p>

<p>同じくGMO系のEpsilonではコンビニ決済もできるが、クレジットカード関しては Payment Gateway の方に軍配があがるように見受けられる。</p>

<p>銀行系の決済会社は、クレジットカード決済は弱いけれども、銀行引き落としには強い。ただ、印鑑を押した書類の郵送が必要な銀行の月次引き落としは、ECには、もっというならば時代の要請には合わない。</p>

<p>ネットプロテクションズという会社のサービスは面白い。「NP後払い」という文字を見たことがあるなら、それがネットプロテクションズのサービスだ。コンビニ、銀行、ゆうちょ銀行などで、後払い決済を実現してくれる。つまり、注文が入ったら、入金確認なしで商品を発送してもよい。もちろんネットプロテクションズによる与信審査はあるけれども、自動審査なのでたいていの場合は数分程度で審査が終わる。自動審査に通らなかった場合でも、人間系による審査の結果が数時間で返ってくる。</p>

<p>どの決済代行会社も一長一短。パーフェクトな会社は存在しない。それぞれ自社の強み弱みを持っている。決済手数料や審査の厳しさ、入金サイト、それに決済会社自身の財務内容も異なる。</p>

<p>自分が実現したいことがその決済会社で実現できるのかをよく考えないと、やりたいことができないということが契約後に判明して慌てることになる。そんな自分も、人のことは言えない。。。</p>