Visa が決済処理プラットフォームを開発者に公開するプログラム「Visa Developer」を始めました。数年で決済代行業者の淘汰が進みそうな破壊力を感じさせます。

CyberSource Payments は、RESTful な決済API。Stripe や WebPay と比べると、パラメータが煩雑ですが、プラットフォーム自身はこんなデータまでサポートしているのか、と感じさせてくれます。利用にはクレジットカード会社との加盟店契約が必要なので、誰でもすぐに本番環境で使えるわけではありませんが、開発は自由にできます。なお、決済代行会社とは違い、クレカ情報は保存してくれません。

Visa Checkout では、ユーザのカード情報と配送先をVISAが保存します。ユーザはVISA Checkout にログインします。ECサイトへのユーザ登録などがなくても使えます。Facebookログインのようなものと捉えることもできるし、ECサイトがVISAショッピングモールの店子になるようなものと捉えることもできます。モールサイトは存在しないけど。

Visa Direct の Watch List Screening API がステキです。経済制裁されてる国の企業や、テロリスト、麻薬密売人などの氏名、住所とどれだけ近いかを示すスコアを返してくれます。ついでにカード決済が承認されるかどうかも。

Visa Direct API を使うと個人間送金を実装できるのですが、国や地域による制約があって、たとえばアメリカとの間では使えません。そういう法律があるんでしょうね。そしてこのサービスを提供する事業者は PCI DSS を満たさなくてはならない。数千万かかるともいわれているので、スタートアップが手を出すには重いなあ。

魅力的な Visa Direct API ではあるけれども、個人間の国際送金を実現するなら、クロスボーダー部分はビットコインで実装するのが一番よさそうです。こちらも、いろいろと規制されていくだろうけど。

決済代行業者は5年くらいかけてバタバタ倒れるか吸収合併されるんじゃないでしょうか。決済代行業者そのものは「クレカ情報を保存する箱」として、あるいは複数の決済手段に対して統一APIや統一画面を提供する役割として、存在意義があると思うんです。

既存の決済代行業者はすでに重いシステム投資をしているので、こういうライトに使えるAPIがVISAや銀行から提供されてしまうと、安いシステム投資だけで済む新興の決済代行業者に、手数料などの面で対抗が難しくなるんじゃないか、と思います。銀行もAPIの提供に前向きな姿勢ですし。

統一決済APIとして面白いなと僕が注目しているのは Komoju(こもじゅ)。クレカ情報を保存する箱として面白いのはトークン決済の Stripe です。